なぜだか携帯電話の料金に対し、執拗なまでの言及を続ける菅総理。
菅総理の発言が実現し、携帯電話の料金が更に安くなったらどうなるか・・??
そんなお堅い話題について真面目に考えてみました。
・・というか、自分の思いを綴ってみました。
菅総理の発言とは
単純明快に説明するなら、「携帯電話会社は利益率20%もあって儲け過ぎているので値下げをするべきだ」という主旨の発言をしている。
菅総理の「携帯料金は値下げの余地がある」というトンデモ発言。
これは明らかに現状と実情を知らない人間の発言としか思えないのであえてトンデモ発言と書かせて頂きたい。
たしかに「安いにこしたことは無い」ということを思っている人も多いだろう。
そういった人たちからすればそれこそ安いにこしたことはないので、携帯料金の値下げに関して大賛成だと思う。
しかしその発言は称賛されるべき言葉なのだろうか?
そして発言として、正当な、的を射たものなのだろうか?
実際に携帯3社の料金は高過ぎるのか
実は現時点で3台キャリアは(家族で複数契約が必要だが)最低料金は1980円程度に既に抑えている。
この1980円を高すぎると思うのか、妥当だと思うのか、むしろ安すぎると思うのか。
感じ方は人それぞれだと思う。
だが個人的には正直、「安い」と思う。
携帯キャリアからの視点で格安SIM業者とのバランスを考えてもギリギリのところだと感じる。
逆に1980円で高いと言う人はいくらなら安い、もしくは妥当な料金と感じるのだろうか?
そして何を求めているのだろうか?
実際に1980円の話を家族や親戚にしてみたが、反応は大体、「そうなの!?安いじゃん!」しかし詳しく内容を説明すると、続く言葉は「電話代はかかるんだね」「〇GBしか使えないのか」「かけ放題はプラスになるんだね・・」なんとなく想像していたが突然ネガティブな雰囲気に至った。
自分の必要なものに相応の対価を払うのは当然だと思うが、自分が必要としていない要素、例えば「電話をかけているわけでもないのにかけ放題が高いと言ってしまう」というような部分に世間の同調圧力的な風潮に流されてしまっているのもあるのかなぁと思った。
何が言いたいかと言うと携帯代を安く抑えたいなら1980円で収まるので、安く抑えられるような使い方をすべきだし、1980円は決して高いとは言えないってこと。
楽天モバイルへの影響
そしてこの発言に戦々恐々としていそうなキャリアがある。それは楽天モバイルだ。
3大キャリアが菅総理発言を真に受けて、今よりも値下げをしたら楽天モバイルの存在が非常に危うくなるかも知れない。
楽天モバイルは月々の料金が2980円。
そう、見てのとおり使えるギガや通話料金は別として、最低料金という点において楽天モバイルは3大キャリアの料金を大きく上回っている。
楽天モバイルは2020年11月現在「日本の携帯代は高すぎる!」と米倉涼子さんに言わせてアピールをしているが、もはや「高すぎるのが楽天モバイル」という皮肉な状況に陥ってしまうかも知れない。
楽天モバイルとしてはこれ以上、下げてくれるな!と思っているのが実情ではないだろうか。
ただ、楽天モバイルは2980円でデータ通信量無制限かつ電話もかけ放題、なので、コストパフォーマンスという意味では最安。
とは言え楽天モバイルが問題無く繋がる場所と機種であれば・・という条件付きだが。
まだまだ歴史が浅く、携帯電話キャリアとしての絶対的な信用が築けていない現状で、安定している電波を使っている人がわざわざ乗り換えるだろうか。ましてや3大キャリア最低料金の1980円でつかっているなら、安心して使える信頼感は欲しいところ。
第4のキャリアとして華々しく登場した楽天モバイルだけど、厳しい戦いを続けていることは想像できる。
携帯電話キャリアとしての絶対的自信があるなら、1年間無料などという売り方はしないんじゃないかな。
1年間無料が終了した人たちがどうなっていくのか、どうしていくのか、これからの動向は非常に気になるところでもある。
格安SIM業者にも喜ばしくない状況
この3大キャリアの値下げ騒動、実際に大幅な値下げが実行された時に困る者がいる。
そう、格安SIMを提供しているMVNOの会社だね。
LINEモバイルだったりOCNモバイルONE、BIGLOBEモバイルなどなど。
ちなみにかつて格安SIMと言われていたMVNO事業者でも通話契約ありで使うなら実は1100円~1600円程度が相場。
そう、3大キャリアが1980円よりも料金を下げたら、「格安SIM」という言葉が「割高SIM」になってしまう可能性がある。
菅総理の発言は、かつての大企業の上層部みたいな思考を感じてしまう。
将来性を見据えず海外の安い労働力に依存し、結果として国内需要や国内の雇用を減らしリストラに走る・・みたいなね。
市場破壊も甚だしいのではないだろうか・・・。
安かろう悪かろうに進めてほしくは無いと思うが・・。
3大キャリアはこれからどうなるのか?
キャリアが利益を減らせば、当然ながら人件費がかかる実店舗は減っていくかも知れない。
そして「携帯ショップ過疎地」というような状況も生まれるかも知れない。
実店舗が減れば当然インフォメーションセンターへの電話も激増する可能性がある。
今よりも巨大なインフォメーションセンターが必要になる。・・がそこを携帯会社がケチった場合、ユーザーはひたすら待つのみという状況になるだろう。
2020年4月以降のコロナ禍という言葉が流行った頃、インフォメーションセンターは全然繋がらなかった。「しばらくお待ちください」のガイダンスと音楽が流れ続け、結果として切断されてしまうことさえあったくらいだよね。
それが普通になるかも知れない。
また、店が無いという状況は連絡手段が携帯しかない人の携帯電話が故障し電話をかけることができない状態となった場合、インフォメーションセンターに問い合わせすることすらできない。
ネットも繋がらないのであれば修理もできない。
都会でも固定回線を解約し、携帯電話しか持っていないという独居老人が増えているような気がする。(うちの近所だけかも知れないが・・)
そういう時に店が無いという状況は非常に困ると思う。レアケースかも知れないが。
個人的な予想でもあるが実際に実店舗が減っていった場合、「5G」の普及が遅れる可能性もあると思っている。
以下のドコモのサイトでもわかるが街で5Gが使えるというより施設やドコモショップへの設置予定が多い。
・NTTドコモ「5G通信利用可能施設・スポット一覧(2020年5月末時点)」
https://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/area/5g/5g_area.pdf
なぜかと言うと5Gのミリ波というタイプの電波は基地局を数多く設置することが一つの重要な要素だから。5Gのミリ波は周波数が高く物体に吸収されやすいため、コツコツと色々なところに設置しなければ活用できないと考えられている。ちなみに50mとか100mおきに設置しなければそのエリアをカバーできない・・なんて声もある。まぁミリ波だけではないんだけれど・・。
当然キャリアはミリ波を活用したいのだけど、コストをカットしなければならなくなってその矛先が実店舗の減少とか設備投資の削減につながるのであれば、本末転倒。
もはや個人利用の携帯だけでなく、商用利用が期待されている5Gがコケることにもなるかも知れない。
「携帯ショップ過疎地」では5Gを敷き詰めるのが難しくなりそうな気もする。
政治家には長い目で俯瞰して全体を見ることができる人間が一人もいないのではないだろうか。
控えめに言ってムカつきますね。
いつもの一言
今回は「菅総理の話題」ということで、政治的な内容があるので書こうかどうか迷いました。
ここに政治の話を持ち込んでも面白くないし、場違いだしね。
しかし、やはり携帯電話業界の動向を近からずも遠からずながら追いかけてきた私です。
以前も書きましたが、携帯電話ショップスタッフの新人よりは確実に私の方が料金体系の変遷も実情もわかっているつもりです。
自負できるほどにはね!
料金プランが変わるたびにチェックしている。
いち小市民としての私でさえも「何も知らずに言いたい放題やりすぎ」てしまっている感を強く感じ、この記事を書きました。
そして最も強く思うのは、この仕組みがあるからこそのこの料金プラン・・ということを各社において感じています。
何が言いたいかと言うと、「携帯電話キャリアばかりが儲け過ぎている」、なんてことは決して無いのではないか?ということ。
営利企業なので当然、利益を追求するだろう。菅総理発言の理由に「携帯各社の利益率が20%だから高すぎる」というような部分があるようだが、じゃあ利益追求するなということか?とツッコみたくもなる。設備投資も必要だよね?企業や国民は生かさず殺さずのジリ貧を奨励しているかのようにも思えてしまう。
また菅総理は「国民の財産である電波の提供を受けて事業活動をやっている」という発言もしているが、もしそんな根本的な話に言及するのであればさっさと国営化すべきだし、できなきゃ「料金プランも総務省が全て定める」くらいの独善的な法改正でもしたら良いさ。
はっきり言って、私の気持ちとしては総務省や菅総理はこの件に関して横から文句を言うだけで何も仕事してない、むしろ邪魔をしている。という印象だ。
武田総務大臣も本当に自分の言葉か?ってくらいに迎合感あふれる言動。残念です。
現状は携帯の繋がりやすさ、つまり電波のエリアや、通信自体の安定。そこにお金をかけているからこその料金プランだと思う。
実際の収支状況は知らないし、ソフトバンクのように海外企業含めてのマネーゲームに傾倒しすぎてもはや実態がわからないところもありますが、ドコモとauに関しては設備投資は物凄いはず。
そして話が戻ってしまうが、過去に存在した「0円携帯」。あれは営業利益が高かったから「本体0円!」や「○○円キャッシュバック!」が実現できていたということもあるかも知れない。
Twitterで若い人たちと話し、「月に1万円強。仮に3割下がれば3000円安くなる。」・・というような発言をされている公式アカウントの方がいらっしゃいますが、その話した若者の料金内訳を見て、内容を分かった上での発言だろうか?
もし、iPhone 11Proあたりを分割で購入していれば、その1万円のうちの2割~3割は本体代である可能性が高い。
そうだとしたら3割下がれば3000円安くなる、なんてことではなく本体が高いだけ。
日本人の携帯代の感覚は不思議で、端末代を含めた総額を「携帯代」って言っている人が多い。
それでいて「電話もかけたい」「大容量のギガも欲しい」ということなら8000円くらいはかかる。なぜなら大容量プランでかけ放題だからね。
ちなみに「課金」をしたり「iCloudの月額契約」もあるだろう、「大容量プランだから動画サービスも使ってる」なんてこともありそうだ。ここまでやると1万円以内で抑えることは不可能。
でもね、これら全て本人のニーズの結果です。
最低料金に抑えようとすれば1980円なのにねぇ。
自分が必要と思っているものに対しお金をかけて使っているのに、それを「高すぎる!」とはあまりにも無体な言いようだとしか私は思えませんね。
さらに言えばその若者本人は高いと言うだけで、ろくに料金の見直しをしようとも思っていないのではないか?
(思っているなら見直すのが当然の心理だと思う。それをしないのであれば明らかにこういった料金に対し無頓着だと思うし、本人が気にしてないならそれ以上他人が口出しできないという状況。)
海外の携帯料金と比べても日本の携帯料金は実は「若干高め」程度。
この「若干」という部分に安定して使えることや途切れずに使える当たり前の日常が詰まっているはず。
例えば高級ブランドバッグを好きで購入し、「このカバン高すぎる!」なんて言う支離滅裂な人、います?
とにかく、中身をろくに調べもせずに漠然と「みんなが高いと言ってるから高いのだろう」みたいな適当な要素を元に政治的爆弾発言は発言する前にウラ取りくらいはしようよと思う。
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